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2021.11.24

逆風を追い風に 舌と心を彩る祇園女将のアイデアとは

京都の中心・四条通り 八坂神社を目の前に路地を奥に入れば、一階はカウンター9席とテーブル席6席、二階に個室二部屋 合計30席。想像もつかない奥行さに驚かれると思います。

店内から眺める坪庭には、立派な弁天さんが。(創業前からいらっしゃったのを同じ方角お社を建て直して祀られているそうです)味舌さんの商売繁盛とお店をしっかり守っていらっしゃるような雰囲気が感じられます。

(写真)四条通り、八坂神社を目の前に、入口を入れば長く続く露路

(写真)白木の美しいカウンター席

(写真)店内に清い空気感をもたらす弁天さん

そこで2代目女将を務める味舌洋恵さんに本日はスポットをあてていきます。

ところでみなさん「味舌」なんて読むの?と思った方も多いと思います。

屋号でもあり、実は本名でもあるこの名は、アジにシタと書いて「ました」と読みます。

苗字の由来が気になるところ。

「おいしいお米ができる田」の意味をもつ「味稲田(うました)」や「味稲(うましね)」などがあるようで、その他によい酒を造る人の意を持つ「味酒(うまさけ)」など、

味舌は「おいしい」を強調した当て字だそう。あとは土地由来もあるそうで、摂津富田味舌村という地名が発祥。元々織田信長の弟の織田有楽斎を藩主とする藩におられ、何世代か前に京都に移住したけれど、大阪には味舌という苗字を持つ方が京都より多いのだとか。

京都で有名なうどん・そばの「権兵衛」さんなど、ご親族にもたくさん飲食関係の方がいらっしゃるのも納得のお料理屋さんとしてこの上ない、皆が憧れるお名前ですね。

味舌さんのすばらしいところは、お料理の素材を活かした京料理の神髄といわれる品の数々。ミシュランでも毎年星を獲得されています。

(写真)お正月のお祝い膳

洋恵さん自身は、京都の有名大学卒業後、大手総合電機メーカーにて数年勤務、その後お父様より2019年に代表取締役社長、兼2代目女将として引き継がれました。2017年にはソムリエの資格も取得。まさに才色兼備。

料理人だったお父上より引き継がれた洋恵さんがお料理や味舌に対して、どのような思いを持っているのか、

またコロナ禍で大打撃を受けた飲食業界の中、味舌さんではどのような策を講じたのかお話を伺いました。

≪味舌さんで大事にされている三軸≫

  • 季節感を大切に

旬の食材に丁寧に手をかけ、目でも舌でも味わっていただける誠実なお料理を提供することを心がけています

  • 目でも楽しむ全体への配慮

お料理だけではなく、器や設えも料理の一部と考え、一つ一つに愛着を持ち、こだわっています

  • 家に帰ってきたようなどこかほっとするようなあたたかいおもてなし

京都では一元さんお断りというサービスはよくありますが、常連さんも、初めてご来店いただくお客様も寛いでお楽しみいただけるようなアットホームな接客を心がけています。現に、お一人様でも定期的に足しげく通ったいただけるお客様がたくさんいて下さることは大変ありがたいと思っております。

(写真)桜の咲いている約2週間だけのお花見八寸

(写真)煮物椀にも満開の桜を咲かせます

≪コロナ禍での苦労と、新しい発見≫

コロナが始まった当初は通常営業ができなくなり、今後の先行き不安で頭が真っ白になったこともありましたが、職人の手を止めず、御料理をさせていただきたいという先代の思いもあり、すぐにテイクアウトの販売に切り替えました。お持ち帰りのお弁当の販売に加え、京都に来ていただけなくてもご自宅でお楽しみいただけるよう、お惣菜販売の免許を取得し、発送可能なおかずセットの販売を始めました。

元々店売り以外にほとんど仕出し料理などの経験がなく、梱包資材の選定や受発注から受渡のプロセスに至るまで四苦八苦でしたが、メディアに取り上げていただいたことも後押しして予想以上のご注文をいただきました。

コロナで気持ちが落ちている時に手軽におうち時間を楽しんでいただこうという思いから販売価格をお手頃に設定したのも功を奏したのだと思います。

経験したことのないピンチの中、自分には何ができるのだろうと考え、テイクアウト商品の詳細や日々の制作風景などを逐一SNSで発信することを始めました。

お買い上げいただいたお客様がSNSに投稿してくださるのを拾ってリポストさせていただくことを続けていると、お客様との交換日記の様につながりを持つことが出来るようになりました。

予想もしていなかったお客様からの応援のお言葉をたくさんいただき、励みになりました。

共に苦労していらっしゃるであろう地元の生産者さんを思い、京都産の食材をメインに使うことを意識して献立を考え、酒類販売の免許を取得し、京都の酒蔵さんのお酒をお弁当と一緒に販売することで生産者さんとの繋がりも深くなりました。

初めて購入したお弁当がとても美味しかったので、と営業再開後に実際に店舗でのお食事に来てくださるお客様もいらっしゃり、日々の発信の重要性を痛感しました。

また、家族と会えないのでとギフトにおかずセットを注文下さる方が多く、新たな需要を見出すことが出来ました。

(写真)おせちの盛り込み風景

(写真)京都の味を全国へ、季節のおかずの詰め合わせ。

(写真)節分時期のお持ち帰り

(写真)梱包から発送まですべて店内で、女将のチェックが入ります

≪代表になってからの思い≫

数年前から仕入れや仕込みは先代から私と同世代の現料理長に引き継いでおり、日々切磋琢磨しております。人が変われば当然味も多少変化しますし、もちろん先代の味が良かったとおっしゃる長年の常連客様はいらっしゃいますが、その中で少しずつでも今の時代に合った私たちの色を出していくことが出来ればと試行錯誤しています。

大切なのは、自分たちがどこに向かっていきたいのか、小さな変化を見逃さず、丁寧に確認作業を進めていくことだと思っています。

まずは核となる御料理は大きく変えずに再解釈しながら丁寧に作り込み、お客様へのアプローチの仕方を新しい世代の方にもお楽しみいただける様変えていこうと考えています。

まだまだ課題はたくさんです。

(写真)初代と料理人の皆さんと

緊急事態宣言もあけ、外食もしやすい状況になりましたね。

年末に向け外食や会食をお考えの方はぜひ味舌さんに行かれてみてはいかがでしょうか。

JOC特典として、最初の一杯をサービスしてくださるので、予約の際はぜひ「JOCのスポットライトの記事を見て」とお伝えください。

コース(ランチ)5000円~

(夜)10000円~

・名前 味舌 洋恵(ました ひろえ) 2代目代表取締役社長

・生年月日 1986/4/16

・出身・学校

京都 ノートルダム小学校⇒同志社中・高・大を経て、大手総合電機メーカーに就職

・趣味・特技 料理。作るのも食べるのも大好き。気の置けない友人との食事は最高のリフレッシュタイム

・休日の過ごし方:暇を見つけては国内外問わずふらっと旅をすることが楽しみ

・所在地 京都市東山区祇園町北側246

・創業 1979年

※本記事は、各会員が、思い思いに書いておりますので、京信ジュニア・オーナー・クラブの正式見解ではありません。