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2021.08.04

~創業110年のハンコの魅力を次世代へ~ デジタル化との共存を考える 若き後継者

今回はハンコを作って110 年と長い歴史を誇る「京都インバン」さんへきました。

本社は四条新町を少し上がった東側に本社を構え、従業員数は 40 名程。

イオンモールなどにも店舗を構えられています。

名だたる企業との信頼関係を築かれ、JOCでもお世話になられている方も多いのでは。

印鑑は大事なものなので、一度お付き合いするとなかなかご縁が切れないのだとか。

それぐらい信用の証であるハンコを代々作られているのですね。

昭和11年頃

現在の本社

(取材当日は宵山。山鉾区域のど真ん中にあるインバンさんでは、店頭で祇園祭オリジナル雑貨がたくさん。お客さんもひっきりなしの状態でした)

 

壬生部会所属、現在は専務取締役であられる高日結美さんのところに訪問してきました。

なんと高日さん、こう見えてお二人もお子さんが!しかも二人とももうすぐ成人だとか。。。見えない!若いお母様なのです。

子育てをされながら、お仕事との両立。また、結美さんの日頃の趣味やストレス解消法などお話を聞きました。

Q.会社を継ごうと思ったのはなぜですか?

A.「もともとは会社を継ぐ予定もなく、学校を卒業してからは歯科助手をし、結婚して育児をしていました。

仕事並みに毎日趣味のママさんバレーをしていると、父から「お金にならんことをするな」と言われ渋々会社を手伝うことに。

11年前に入社後、これだけ続いた会社を閉ざすわけにはいかないと思い継ぐ決心をしました。

でも、いくら娘とはいえ、最初は子育てをしながらの両立だったから、早く退社したりするともともといらっしゃった社員さんからの風当たりは強かったですけどね」

と答える結美さんも、今では、周りを明るくするハツラツとしたお人柄もあり、次期7代目社長になられるのも間近。

Q.  ゆみさんの右腕になる方っていらっしゃるんですか?

A.「私が高校生の頃から働いてくださっている社員さんが私のフォロー(右腕)に徹してくれていて心強いです。

弊社はアットホームな会社で、うちの父の人柄もあってか離職率が低いので職場の高齢化が進んでいて。

嬉しい反面、考え方が凝り固まってしまっているのが問題点。来年から、20年ぶりに新卒の芸術専門学校生を採用したんです!

しかも息子と同い年だからどう接したらいいかちょっと不安です(笑)」

(社員全員で会社の良いところを100個あげてみたそう。温かい良い会社というのが伝わってきますね)

Q.  ハンコ業界ってどうなんですか?

A.「ハンコは日本の文化によって守られてきましたが、今後はどんどんデジタル化が進んでいくので、印鑑の需要が減っていきますね。

法人印も少なくなると推測しています。時代の流れなので仕方ないと思います。

欧米はもともとサイン、中国ではゴム印にIDチップが埋め込まれたものが主流で地位のある人しか持てません。

印鑑の押印は日本特有の文化になっているんです。

もともと印鑑は紀元前3300年頃メソポタミア文明時代に発明され、神殿などの坪に埋蔵してある財宝に封印を施すものだったそうで、現代と使う目的は一緒だったんです。

印鑑は大事な時に必要なものです。なので、なくなることはないと確信しています。

あと、最近はネットで簡単にハンコが作れてしまうのですが、手元に届いて初めて出来栄えがわかるし、プラスチックみたいな水牛だったりすることもあって・・・。

本当に大事な印鑑を作る場合は、ネット注文はおすすめしないですね。デジタル印鑑も私たちのデザインをもっと活かしていけないか考えているところです」

そんなハンコ業界の危機もありますが、前向きに取り組まれていることも!
ハンコの面白さ・素晴らしさを伝えるためにハンコ造りの体験をワークショップとして実用以外の部分でも日本の伝統工芸品として海外の方に広める機会を大切にされています。

*今はコロナで閉鎖中です

自社のビジネスだけでなく、伝統工芸品の伝承というところにも力を注がれている結美さんの熱心な姿が印象的です。

また、芸術専門学校で授業の一環として、年賀ハガキのデザイン公募をコンペとして取り入れてもらっています。

若い世代にも年賀状を出す習慣をつけてほしいというのが目的です。学生の感性は私たちとは違いフレッシュで柔軟で毎年驚かされています。

最近は名刺デザインやチラシ作り、店内POPのお手伝いもさせていただいています。

印鑑の印影も文字のデザイン。今後はデザインにも注力していきます。

例会委員会に所属されている結美さん。本部例会のチラシも作成されました。

例会もぜひご参加ください!

 

Q.休日は何されてますか?

A.「今はすっかり息子たちも大きくなったから、自由にさせてもらっています。友達とご飯たべにいったり旅行したり謳歌しています。

息子がサッカーをしているので試合を見に行くのも休日の楽しみのひとつです。趣味で、バレーやゴルフ、ホットヨガをやっています。」

と健康的な小麦肌が印象的でした。

Q. JOC会員とできることはありますか?またJOC会員の特典などってありますか?

A.「うちはレーザー機を使って印字する技術があるので、他の企業さんとコラボして何か商品を作りたいです。

例えば革・木・ガラス製品で何か作りたいですね。特典としてJOC会員さんがハンコ購入してくださったら、おまけにシャチハタ印をお作りします。」

結美さんおすすめのチタンのハンコ「100年チタンというようにかけにくく長持ちします。ボディがハンコらしくなくってカッコイイんですよ。」と。

         

やっぱりハンコは一生もの。特に象牙のハンコは押し心地や朱肉の付き方、風味が全然違う!と。

今後は皆さまのお子さんが成人される時など、うちでハンコを作ってもらえればうれしいですとお話されていました。

 

高日 結美(現・専務取締役 次期7代目社長)

・生年月日 1978/8/12

・出身地 京都

・趣味 バレーボール、ゴルフ、ホットヨガ、飛行機を見に行く

・特技 イラストレーターを使うこと

・会社名 京都インバン株式会社

・代表者名 松原 常夫

・HP http://www.inban.co.jp/

・所在地 京都市中京区新町四条上ル

・創業 明治45年(平成元年に現在の場所に移転)

・業種 印章業

記事編集:スポットライト委員会  河原町部会 吉川知里

 

※本記事は、各会員が、思い思いに書いておりますので、京信ジュニア・オーナー・クラブの正式見解ではありません。