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2021.11.12

堀川新文化ビルヂング

皆様

平素より大変お世話になっております。

大垣書店の大垣守可(おおがき もりよし)と申します。

今回、ブログ掲載の機会をいただきましたのでこの5年ほどをかけて取り組んだ新事業について、その企画の根本にある私なりの考を記載してみようと思います。最後には私が着想を得た書籍も紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

浅薄な若輩者ではありますが、一人の人間の経験談としてお読みいただければ幸いです。

最初に新事業の背景を紹介させていただこうと思います。2021年11月20日に「堀川新文化ビルヂング」という施設が開業を迎えることとなりました。この施設は、京都府において「堀川団地活性化事業」としてスタートしたものです。事業の基本方針は以下の通りです。

“堀川団地の再生に当たっては、多様な人々が関わり合い、育んでいく「賑わい」「まちづ くり」「暮らし」の拠点として、かつ「堀川通の新しい顔」として地域の「ゲート機能」の 役割を担う拠点として、「アートと交流」をテーマに賑わいと活力ある団地づくりを目指す。”

(京都府ホームページ:https://www.pref.kyoto.jp/sanroso/hrkw/documents/hoshin.pdf

これをもとに、事業の実行者に民間団体を選定することとして公開プロポーザルが実施され、弊社もそれに応募、のちに選定されました。その後社内にて「堀川アート&クラフトセンター(仮称)プロジェクト」が発足し、私がそのメンバーとして選任されました。その後足掛け5年をかけて開業に至ります。

なお、施設の詳細については、(せっかく作ったので)ホームページからご確認いただければ幸いです。堀川新文化ビルヂング:https://horikawa-shinbunkabldg.jp/

 

◆短期消耗的な事業と長期蓄積的な事業

さて、ようやく本題です。今回大垣書店として全くの新事業に取り組むこととなり、その最前線に立って感じたことをご紹介したいと思います。

 

それぞれの会社によってさまざまな状況があると思いますが、今回は本の世界が斜陽産業と言われて久しいという前提をもとに新事業の立ち上げを考えました。

※以下、あくまでも弊社の業界内での出来事がベースです。その点ご容赦ください。

まず、この業界のピークは1996年で、そこから今日に至るまで右肩下がりを続けています。そうした状況で実際に起こっているのが「短期消耗」型の商品が多発することです。商品開発段階においてメディア戦略や扇動的な企画などがあり、その上で商品が販売されます。皆日々苦しんでいるので、目先の売上を取りに行きます。これはビジネスとして至極まっとうなことだと思いますし、金銭以外にもこれによって得るものもあると思います。ただし、これは消耗的ですので、景気が上向いている時ならまだしも、現状では根本的な成長にはつながらないと感じています。

ですので、私は、「堀川新文化ビルヂング」においては長期蓄積的な事業を目指すことにしました。開業時の企画はあくまで種であり、今後長く育てていくことを前提にしています。(もちろんこれは短期消耗的な事業があるからできるということをお断りしておきます)。

デジタルの世界が隆盛極まる昨今において、あえてリアルな施設を作るうえで最も大事だと考えているのが地域性です。リアルな施設が長く続く最大の秘訣は「どれだけ地域の生活に溶け込んでいるか」に尽きます。この点はコロナ禍によりかなり表面化したのではないでしょうか。

◆まとめと本のご紹介

短期消耗型の事業と長期蓄積型の事業は一定程度バランスしている必要があると思いますが、苦しくなると途端に短期消耗型が増大します。私はそうした現状の中であえて長期蓄積型の事業に取り組むことでバランスを保ち、ある程度安定した状況を作り出すのが目標です。そうすることで次の成長へ進むことができると思いますし、そんな状況を次の世代へ渡していきたいと考えています。

最後に、こうした考えに至るまで読んだ様々な本から、2冊ご紹介したいと思います。

・『後世への最大遺物・デンマルク国の話』 著者:内村鑑三 発行:岩波書店

ISBN:9784003311943

 

・『理想の書物』 著者:ウィリアム・モリス 訳:川端康雄 発行:筑摩書房

ISBN:9784480089640

いずれも堀川新文化ビルヂングにてご購入いただけます。『理想の書物』は堀川新文化ビルヂング開業記念として限定復刊しておりますので、ぜひこの機会にお求めください。

※本記事は、各会員が、思い思いに書いておりますので、京信ジュニア・オーナー・クラブの正式見解ではありません。