Member’s InterviewNo.0013 山梨 晃司

Interview2024.07.10

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

yamanashi_koji

  • 壬生部会
  • 第20期 入会
  • 都製餡株式会社
  • 菓子製造業

皆さん、こんにちは。

本店部会所属、総務委員会の鳴海 力哉です。

 

今回は壬生部会所属の山梨 晃司さんの会社へご訪問させていただきました。山梨さんは餡子製品のOEMや、子会社の小売ブランド「都松庵」の商品を製造する都製餡株式会社を営んでおられます。

 

お仕事のこと

記者:よろしくお願いいたします。まずは山梨さんの会社の事業内容についてお聞かせいただけますか?

 

山梨:遠くまでご来社いただいてありがとうございます笑。弊社、都製餡は「製餡」と名前はついていますが、主にあんこを使ったお菓子のOEMを手がけており、また、子会社である小売ブランド「都松庵」のお菓子を製造しております。

 

記者:なるほど、ありがとうございます。以前のモルックでの同年会事業の際に提供されていたクッキー。とても美味しかったです!あれは都松庵のブランドでしたでしょうか。

 

山梨:そうです、ありがとうございます!

 

 

記者:創業はいつごろなんでしょうか?

 

山梨:都製餡の創業は昭和25年です。大元をたどると、私の曽祖父がはじめた「山梨製餡」という餡子を製造する会社が前身、というか本家にあたりまして…私の祖父である山梨 茂がその次男です。今後の経済成長を見据えて、祖父含めて兄弟が3人いたのですが、「三本の矢」の逸話じゃないですけれども、お互いが助け合えるようにとそれぞれに会社を設立したのが始まりです。

 

記者:そうだったんですね!先ほど、今はお菓子の製造がメインとおっしゃってましたが、製餡というのはどういうお仕事なのでしょうか?

 

山梨:製餡というのは、文字通り餡子をつくる仕事ですが、いわゆる皆さんがお菓子屋さんで召し上がられる餡子の一個手前の状態の「生餡」(なまあん)をつくるのが、製餡会社の最も大きな役割です。その生餡をそれぞれ和菓子屋さんが、自分たちのレシピで炊き上げてお菓子にされるのですが、最近では製餡会社で餡子の状態にまで加工してお納めすることも多いです。ただ、今の都製餡はもうその生餡を製造する機能は無くなってしまいまして、本家の山梨製餡から餡子を仕入れて商品にすることに特化しています。山梨製餡最大の取引相手です。

 

 

記者:なるほど、川上と川下で上手く分業されているわけですね。いつ頃から、今の様な業態になられたのでしょうか?

 

山梨:正確にいつ頃というのは難しいですが…祖父が非常にアイデアマンで新しい物好きだったそうで、袋詰めの餡子を一般のお客さま向けに販売してみたり、普及し始めた電気冷蔵庫で餡子を保管する技術を開発したり、製餡業界の中では創業当初から独自路線を走っていたのかもしれませんね。ちなみに餡子の袋詰めを販売したのは日本で初めてだったそうです。

 

記者:それはすごいですね!

 

山梨:ただ、急に「出家する」と言い出したらしく、本当にそのまま仏道に入ってしまって、その後は父親が20代くらいから家業をついで切り盛りしていたようです笑

 

記者:ええーーー!?

 

山梨:とはいっても完全に仕事から離れた訳では無かったようですけれども。ただ、父も負けず劣らずのアイデアマンというかハイテク好きで、パソコンなんか一切普及していない時代に100万円のノートパソコンを買ってきて会社に導入してみたり。あの平野ノラの「しもしも〜」でお馴染みの黒いショルダーフォンを導入してみたり。実は、今の会社の基幹システムも父親が作ったんです笑

 

記者:それはすごいですね!!

 

山梨:ただ、そのせいでDX化が全然進まないんですけどね(笑)以前、流石に進めていかないとな、と思って見積りとってみたんですけど、びっくりするような値段になったので、当分の間はお世話にならざるを得ないんですが笑

 

記者:それでも、未だに使えるシステムを作られてた訳ですね。

 

山梨:そうなりますね。もちろん基幹システム以外にも様々な製造機械を導入したのも父で、その設備が地域の一番店といわれるようなお菓子屋さんを相手に専用の配合で商品を作って納めるOEMの基盤になりました。そう思うと本格的に今の業態に近づいたのはその頃かもしれませんね。当時はUCCやブルボンといった大企業とも取引をしていたようです。

 

 

記者:まるで。影武者の様な存在ですね。

 

山梨:実際、業界では「(某菓子店名)の影武者」と呼ばれていた時期もありました。

 

記者:実際に呼ばれていたとは、恐れ入りました。

 

山梨:いえいえ。ただ、OEMも良いところばかりでは無くて、どうしても仕入れ先の力が強くなるので、いつ注文が無くなるかも分からない。自分たちでコントロールできる部分がどうしても少ないので、自社ブランドを展開してその中で製品を売っていく「都松庵」をより大きくしていきたいと考えています。

 

 

ご自身のことについて

記者:ここからは、山梨さんの人となりについてお聞きできればと思います。なんでも、小さい頃は水泳をされていたとか。

 

山梨:水泳は小学校から始めたのですが、学校に水泳部があり本格的に始めました。平泳ぎが専門種目だったのですが、最終的に滋賀県3位になることができました。正直、人生の大半のご縁はこの頃にできあがったと思ってまして…実は妻も同級生なんです。

 

記者:そうなんですね。すこし脱線しますが、奥様とは昔からのご縁ですか?

 

山梨:いえ、全然。彼女はめちゃくちゃ頭が良くて、高嶺の花で全く接点がなかったんですが、なぜか連絡先だけ知ってたんです。そこから、彼女を「同窓会に呼ぶことができる唯一の人間」というのが自慢の種で、よく誘っていたのですが、そこからよく話す様になってお付き合いが始まりました。

 

記者:奥様は、一緒にお仕事されてるんですか?

 

山梨:はい、いまは事務の方を手伝ってくれています。あと、商品案や色々な意見をくれたりと良い相談相手になってくれていますね。

 

記者:なるほど。まさに中学時代のご縁が今に繋がっておられるんですね。大学時代はスキーをされていたとか。

 

山梨:そうです。入学した大学にスキーサークルがありそこに入りました。父がスキー好きだったこともあって昔から滑っていたので、勧誘の案内を見てやってみようかなと思ったのがきっかけです。

 

記者:なるほど。

 

 

山梨:ただ、ここも紆余曲折がありまして、大学入学当初、実は私金髪にしてたんですよ。

 

記者:金髪ですか!?

 

山梨:「舐められたらアカン」と思って金髪にしたんですが、怖がられたのかものの見事に失敗して友達が全然できませんでした。そこから黒髪に戻してスキー部に入ったら、すぐに友達ができました(笑)

 

記者:今の山梨さんからは全然想像つかないですね。そこから、大学卒業後は直ぐに家業に入られたとか。

 

山梨:そうですね。実は本を読むのが好きで「小説家になりたいな。」と思った事もあったのですが、卒業間近になって家業に入ることに決めました。

 

記者:なにか理由があったのでしょうか?

 

山梨:当時すでに都松庵が店舗として存在していたんですけど、そこで長く働いてくださっていたパートの方が退職されることになり、今後どうしようかという話し合いになりました。その時に「ここまで散々自由にさせてもらって、いわば無駄飯を食べさせてもらってきておいて、後は知りませんというのはちょっと悪すぎるな。」と思いまして…恩返しではないですけど、そういう想いで一回やらしてもらえないかという話をしました。

 

記者:都松庵がスタートだったんですね。

 

山梨:そうなります。そこから、菓子の訓練校に行ったりする中で、本社業務の方も任せてもらうようになり、今に至っています。といっても入出荷の部分が主で、製造の部分は触らせてもらえませんでしたが。

 

記者:逆に珍しいですね。

 

山梨:そうでしょう?ただ、父としては「これからは営業の時代だ、経営者は外に出ないといけない」という考えがあり、のめり込んで内に篭らない様に仕向けていたみたいです。実際、製造には頼りになる職人が居るのでその方を頼って任せています。ですので、逆に製造以外はなんでもやるというような状態です。

 

記者:なるほど。そこまで色々やられていると、さぞお忙しいと思いますが、気晴らしで何かをされたりというのはありますか?

 

山梨:家族と過ごすことが多いですね。娘が2人いるんですが、可愛いです。 公園に一緒に行ったり、買い物に出かけたりしています。それ以外だとランニングに最近ハマってます。

 

記者:よく堀川近辺で目撃情報聞きます(笑)

 

山梨:この年齢になると運動不足も心配なので心がけて走る様にしてます。後は、旧サポート委員会の方とゴルフに行ったり…まだ回れるレベルじゃないですけど…(笑)いつもお誘いいただいてありがとうございます。

JOCについて

 

記者:JOCの話が出たところで、入会のきっかけは何だったのでしょうか?

 

山梨:コミュニティ・バンク京信さんからのお誘いですね。正直、最初は断ってました。

 

記者:断っていたんですか。

 

山梨:はい、私自身が割と人見知りなのと、私の父が某青年会議所に入会してた事があって、あまり家にいなかったので苦手意識がありました。ただ、担当の方の押しに根負けして…入会みたいな感じです。今を思うと入って良かったなって心から思います。魅力的な会だなと。

 

記者:と言いますと?

 

山梨:いや、魅力しかないでしょうというのが本音です。ここまで大きな組織で、製造業の人も多いですし、どこかで共通の悩みであったり話題みたいな事が「部会」でも「委員会」でもあって、それ以外の部分でもプライベートのお付き合いができる場所ってなかなか無いなと思います。

記者:なるほど。

 

山梨:もちろん事業で自己研鑽を積む場が設けられてるというのも良い部分ですが、それ以外の「人とのつながりが生まれる」という部分が一番の魅力。これにつきると思います。

 

記者:そのとおりですね。

 

山梨:家族例会なんかも、うちの家族はとても楽しみにしてるので。娘なんか「今度、いつ行けるの??」って言うてるくらいですし笑

 

記者:とてもいいお話ですね。ちなみに今期は第23期特別事業委員会に所属されていますが、その活動はいかがでしょうか?

 

山梨:正直、周りが経験豊富な方ばかりで、その方々に任せっきりで申し訳ないのですが、秋山さんとか樹下さんとか長谷川さんとか、先輩会員方の凄さを目の当たりにしています。こういう人たちが今のJOCを作ってきたんだなと改めて感じています。

 

記者:近々ですと8月に事業が控えていますね。

 

山梨:そうですね。モルックに引き続き、「HADO」を同年会対抗でやります。多分みなさん、「なにそれ??」って思っておられると思います。正直、私も最初は思いました。「かめはめ波のやつでしょ!?」って笑。でもやってみたら意外と楽しくて「今度これどこでできるんだろう」ってなりましたので、騙されたと思って参加してみてください!きっと楽しめますから!

 

最後に…

記者:最後に座右の銘などはありますでしょうか?

 

山梨:山本五十六の「やってみせ」ですね。実は工場の1F部分にも貼ってるんですが、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」というやつです。実はこれ、3番までありまして、それが「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず」なんです。1番だけだと人を使うことにだけ焦点をあてたような言葉なんですけど、実は「人を育てる」ことへの格言なんです。自分の立場上、仕事や家庭で人を育てる場面が自然と増えて来ている中で、これができているかなと、この言葉を常に意識して仕事をしています。

 

 

記者:なるほど。

 

山梨:あと、自分自身が割と感情で物を考えてしまうタイプなので「やってみせ」では無いですが、人に見せれる姿。子供に見せられる姿。行動をとっているかと言うことに注意するという意味でも心に留めています。ただ、酔っ払うと忘れてしまうと言うのが最近の課題です(笑)

 

記者:それでは最後にJOC会員のみなさんにひとこと!

 

山梨:兎にも角にも特別事業への出席をお願いします!お仕事の方は、一口羊羹を注力してやっていこうと思っていますので、もし会社の看板メニューや材料を使ってこんなの作れないかなというアイデアを持っておられましたら、ご相談ください!そこまで大きく無いロットでお作りできますので!!

 

記者:長時間に渡りありがとうございました。

 

 

当日は、製造拠点である滋賀工場にお邪魔したのですが、羊羹やゼリー、ぜんざいなど多様な商品を作る機械がところ狭しと並べられていました。

ぜひ、商品アイデアや、ご訪問時のお手土産などでお困りの方は、山梨さんにご相談されてみてはいかがでしょうか?

 

都製餡株式会社

〒604-8333

京都市中京区岩上通三条下る下八文字町709

https://miyako-an.jp/

 

都松庵

本店
〒604-8333
京都市中京区堀川三条下ル下八文字町709 都壱番舘三条堀川1階
営業時間:AM10:00-PM6:30

KYOTO TOWER SANDO店
〒600-8216
京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町 721-1 京都タワービル 1F
営業時間:AM9:00-PM9:00

https://www.toshoan.com/

 

総務委員会取材チーム

取材リーダー 今村 哲也(伏見部会)

記事作成 鳴海 力哉(本店部会)

アシスタント 岸場 啓太(近江部会)

 

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