Member’s InterviewNo.003 毛戸 健嗣
事業計画書で見える化する重要性とものづくりの未来
毛戸 健嗣 kedo kenji
みなさん、いつも京信JOCインタビューをご覧いただき、誠にありがとうございます。
第3回目のインタビュー記事担当させていただく、第23期本部の総務委員会&洛南部会に所属している古市谷(コイチタニ)と申します。
長文にはなりますが、何卒よろしくお願いします。
今回は、吉祥院部会長 兼 第23期本部の例会委員として、京信JOCを盛り上げていただいている毛戸 健嗣さんの株式会社毛戸製作所にお伺いさせていただきました。吉祥院部会では【chatGPTでできること変わること知っておかないと損すること】をテーマとして部会事業を企画運営されたり、先日の第一回本部例会の際、壇上にて快活に話されるなどJOCの様々な分野で活躍されています。
事業内容・JOCについて・プライベートについて・新規事業についてなど、約1時間半程度インタビューさせていただき、その内容をまとめて記事にさせていただきます。
事業内容
株式会社毛戸製作所は、鉄・ステンレス・アルミ・チタン・真鍮等の金属板をタレットパンチプレスレーザー複合機で切断、NTベンディングマシンでの曲げ、さらに溶接と金属加工を一貫生産体制で行われております。主に、板金加工業の中でも建築板金ではなく、工場板金業として活躍されております。
会社の強み
株式会社毛戸製作所の強みは『品質を高めていくためのアイデア力』だと感じました。
1つの例として、「溶接をせずに」「品質を保ったまま」「素材と結合させる方法」を考案されるなど、今までの常識や当たり前を疑う事で、新しい加工方法への挑戦から新しい技術を生み出す事を会社として意識する事の重要性を教えていただきました。
その『品質を高めていくためのアイデア力』を最大限に生かすために、下記のような取り組みをされております。
「従業員が挑戦したい事に関しては、必要な備品関係などは積極的に導入する制度」
「採用基準は、足りないポジションの人材を探すのではなく、会社メンバーにいない個の魅力のある人材を採用する」
「従業員が社長に相談しやすい人間関係の距離感や風通しの良い空間作りを目指す」
など、個々の特性を活かし、多様性を認めるダイバーシティー&インクルージョン経営を基盤とした現場環境を整え、クリエイティブな思考ができるような環境づくりを意識されている点に、とても感銘を受けました。
ただ、年功序列といった縦割りの社会ではなく、個性豊かな人材かつ自由度がある風通しの良い環境にするからこそ、従業員同士の価値観の違いによる意見の相違やコミュニケーションに難しさを感じる事もあるそうですが、積極的に採用し続けていく事で、トライ&エラーを起こしながら、少数精鋭で生産性を高めていく事の重要性も教えていただきました。
そういった柔軟な考えを持たれている毛戸さんだからこそ、苦労した時のお話もお聞きしました。
会社のターニングポイント
毛戸さんが25歳の時に、株式会社毛戸製作所に入社され、4年間は現場で作業をし、29歳から管理する部長クラスになった時に、初めて財務諸表を見た時に、会社の状況が直近の情報だけでは分からず、過去の決算書を遡っていく中で、祖父祖母の土地に根抵当権がついている状況を知った際に、会社の状況があまり芳しくない事を知り、会社の業績をフラットな状況にすべく、3ヶ月間、みっちりと5カ年計画を作った時が分岐点だったと教えていただきました。
3ヶ月、従業員に全ての業務を任せ、事業計画書を作成する事だけに全ての時間を捧げたそうです。現実的に可能な数値で、根抵当権を外せる状況にまで持っていける数値を落とし込み、日々の行動計画を事細かく見える化し、それをただ実直に実行する事で、5年後に、計画通りの数字目標を達成し、見事、根抵当権が外れたそうです。
「思考は現実化する」
良くも悪くも思考している事が現実化されるという事!
頭にあるイメージを紙に見える化する事で、事業計画書通りやっていこうと思ったからこそ、現実化したのだと教えていただきました。
なかなか日常業務に追われる事が多い中で、事業計画書を作成されている方というのは少数だと思いますが、指揮をとる経営者にとって、「良い選択」「良い決断」をするために、事業計画書は非常に重要なものである事を痛感した瞬間でもありました。
もちろん、事業計画書を作成する事はとても大変だという事は毛戸さんもおっしゃっておられました。ほとんどの人がある程度、大雑把に計画を立てる中で、1円単位で細かく数値化するくらい事細かく計画立案していたとの事だったので、最初はなかなか考えがまとまらず、苦労した中で、毎日考えに考え抜いて、イメージを具現化できるように落とし込んでいったそうなのですが、最後はどこまでそれを本気でやりたいかと思えるかの気持ちが大切だと語られています。
事業計画書はあくまでも目的を達成するための手段であり、最終的にはその目的を達成するためには気持ちがかなり必要だとおっしゃっておられました。
ただ、5年間、根抵当権を外すために、一心不乱に努力してきたからこそ、目的を達成した後は、次の目的を見つけるまでに、燃え尽き症候群のような現象になられていたようで、毛戸社長の本気度がかなり伝わってくるお話でした。
そんな中で、今まで金属加工業社として、長期に渡り、様々な形で携わってきたからこそ、ものづくり分野での課題や発展すべき先を見据えた上で、新たな目的が見つかったそうです。
毛戸社長の次なる目的
その次なる目的というのが自社でシステム開発された『レーザー加工の自動見積ECサイト「KeDDii ALPHA」』を世に広めるという事です。
印刷業界に激震をもたらしたプリントパックのように、レーザー加工で様々な物が作れるポータルサイトはこちらになります。
DXFやAIの拡張子データを添付するだけで自動見積り→注文が出来て簡単!
レーザー加工された製品一覧がこちらになります。
ぜひ皆様も一度、CADデータで製品を作ってみてはいかがでしょうか?会社の看板なども作れるそうです。
インタビュー記事作成者:古市谷が感じた事
本インタビューを通じて、毛戸社長のエンターティナー性や芯のあるかっこいいクリエイティブ経営者として、実体験を通じて、様々なお話をご教授いただきました。こういった魅力的な会員さんと出会えるのがJOCの良さだと改めて感じました。
正直、この記事では全然魅力を伝えきれていない事がたくさんあります。
毛戸社長が大好きなゲームであったり、三国志などを例に例えていただきながら、わかりやすくお話を聞かせていただきましたが、記事に起こす事が非常に難しく、私の能力不足で申し訳ございません。
ただ…
常に+αで人を楽しませようとするアイデア力に長けた考え方、目配り、気配りの配慮などが一流の毛戸社長から得るモノが多く、とても貴重で有意義な時間でした。ありがとうございました。
総務委員会 担当取材チーム
リーダー 兼 記事作成 古市谷 達也(洛南部会)
インタビュアー 吉田 将史(口丹部会)
アシスタント 八軒 茂隆(大津部会)
アシスタント 樋口 勝久(洛南部会)
写真撮影 小窪 祐洋(京都信用金庫)