事業承継とコロナ禍
こんにちは、洛北部会で総務委員会所属の大佐彩子です。
今日は個人的な話になりますが、まだまだ途中の事業承継と
コロナ禍に思うことを書かせていただきます。
私は東京から地元京都にUターンする5年前まで、
父が営む建築・不動産業の会社を継ごうと思ったことはありませんでした。
一人娘ですが、会社を継いで欲しいと言われたこともなく、
建築や不動産の知識も全くない状態でした。
Uターンしてすぐに借りて住んだ龍安寺近くの古民家は、
父の会社でリノベーションした物件でした。
和風の庭と茶室の離れが付いた築80年以上にもなる古民家でしたが、
水廻りは現代の生活に合わせ最新のものに変え、大きなガラスのサッシを入れて
部屋を明るくするなど工夫し、古臭さはなく、古いものと新しいものの調和がとれた
暮らしやすく心地の良い家でした。見ための意匠にも大工や各職人、そして父のこだわりが
とても感じられました。
この体験が建築やリノベーションに興味を持つきっかけでした。
Uターンから1年後、父に会社を継ぎたいと伝えました。
同時に、心のどこかでずっと引っかかっていたものが、すーっと消えたのがわかりました。
幼少期からどこかできっと継ぐんだろうなという思いを持っていたんだろうなと思います。
父も私の意志を受け入れてくれ、入社することになりました。
全くゼロからのスタートです。
右も左もわからないまま、毎日びくびくしながら仕事をし、
失敗ばかりしていました。
ずっと自信がないままの日々を送っていた時にふと気付いたのは、
自分は父のようにならないといけない、父のような仕事をしないといけないと思っていたこと。
違う人間なのに父の知識、父の仕事そのままを引き継がないといけないと。
なれるわけがないのに、それがプレッシャーになって空回りしていることに気付きました。
そんな時になんとなく聴きたい音楽を探している時に知った、
アメリカのジャズ歌手で俳優の
Lena Horne(リナ・ホーン)の言葉が心に突き刺さりました。
It’s not the load that breaks you down,
It’s the way you carry it.
重荷が人を押し潰すんじゃない、
背負い方が問題なのよ。
彼女はアフリカ系アメリカ人で皮膚の色が黒人にしては薄かったため、
白人からだけではなく黒人からも差別を受けるという苦労をしながら、
活動家として人種差別運動に関わり、アメリカでの活動に制限を受けながらも、
グラミー賞を受賞する功績を持ち、近年失くなった人物です。
彼女の環境や重圧と自分を比べるのはあまりに痴がましいですが、
私は小さなことでも勝手に重荷に思う癖がついていて、
頭も体もガチガチになってしまうことが多いです。
そんな時にこの言葉を思い出すと、その時の自分を俯瞰して見られるようになり、
同じ物事・問題でも違う角度から見てみると、全く違う解決方法やアプローチの仕方が
出来ることを思いついて、気持ちが楽になります。
重荷を軽くできなければ、背負い方を変えてみるとか、
責任や仕事、ちょっとした億劫な家事でも、その背負い方をちゃんと
考えられるようになれたら、無駄な悩みも無駄な時間もなくなるのだと思います。
日々社会が変化するので、会社として今までのやり方そのまま受け継ぐというわけには
いかないのが現状です。もちろん基本の仕事はやりつつ、それプラス時代をよみ、
私に何ができるか、何をやりたいかを模索しています。
それはこの先もずっと続いていくことになるでしょう。
最近では民泊の事業申請を行っている途中です。
営利目的ではなく、京都への移住を考えている方や、
古民家のリノベーションに興味のある方に暮らしの体験をしてもらうためです。
また大工や各職人のこだわりをじっくり見て寛いでいただいて、
古民家やリノベーションの良さを知っていただけたら嬉しいです。
古くて良いものはなるべく活かし、新しくても元々そこに在るように溶け込ます
というのが会社の理念です。
コロナ自粛や在宅勤務により暮らしを見直す機会が増えた方が多いと思います。
私が大切にしているのは自分が好きな自分でいられること。
好きな家族、好きな空間で無理をせず深い息をして暮らせることが理想です。
コロナの影響や自然災害で毎日が幸せというわけにはいかないこのご時世ですが、
1日のうちの僅かな時間、自分を喜ばすこと。
あわよくばそれを近しい人におすそ分けできればなお幸せです。
JOCは昨年の秋に入会しました。私は人付き合いが苦手で、入会することにとても悩みました。
今までの自分であれば入会していなかったと思います。これも背負い方次第で、
同じ時代、同じ地域、同年代の経営者の方々と出逢え、経営について学び、
事業や事業以外での話や悩みを共有したり、共感したり、
委員会での会議、部会での集まりで気軽に声をかけていただいて仲間と言ってもらえることが、
いつも嬉しくて楽しい時間です。
京都信用金庫さまにお声がけいただいて、入会して本当に良かったと思っています。
これからもどうぞ宜しくお願いします。
※本記事は、各会員が、思い思いに書いておりますので、京信ジュニア・オーナー・クラブの正式見解ではありません。