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東九部会 部会長インタビュー
カテゴリー:東九部会

東九部会 株式会社OKAMOTO 岡本一喜さん
― これはいける。の直感と、技術で積み上げた信頼。人が集まる部会の未来へ ―
プロフィール
株式会社OKAMOTO・岡本一喜さん。20歳ごろから家業の現場に入りました。大学進学はせず、高校卒業後は少し「フラフラしていた」と笑いながら語る一方で、当時からどこかに「いつか会社を動かす側になりたい」という気持ちもあったそうです。
“やりたいことが決まっていた”というより、「その時の状況で、自分ができることを探して動く。」
その選び方が、結果として事業の転機を何度も呼び込んできました。気負いのない言葉の奥に、行動の速さと商売勘を感じました。

会社と事業
株式会社OKAMOTOの主力は、京都を訪れた方が思い出づくりとして体験する着物レンタル。
修学旅行、観光散策はもちろん、卒業式・成人式・パーティーなどのフォーマル需要にも対応し、今では着物事業で7店舗、食べ歩き業態など飲食で8店舗、合計15店舗 規模へと広がっています。
事業のスタートが“いきなりレンタル”ではなく、当時流行していたYahoo!での販売チャレンジだったことがとても印象的でした。
・店で加工して商品として置いている「加工前の素材」を売ってみた。
・「センチ売り」のように、従来なかった売り方を試してみた。
するとこれが当たり、「結構バズって」と手応えを感じたそう。
しかしながら、最初は着物の知識があったわけではありません。岡本さんを支えたのが、仕入れ先・納入先の会社の存在でした。着物業界の状況も踏まえつつ、「午前中は商品を教える。その代わり買う。」という約束のもと、学びながら商売を前に進める“学びの仕組み”を、自分の現場に落とし込む力が若い頃からあったのだと感じました。
岡本さんが強くこだわる「わかりやすさ」
昨今、レンタル業界は広告競争が激しく、極端に安い金額で集客してオプションで上がっていくケースも多い中、岡本さんは“始めから完結する料金設計”を大事にしています。
「3000〜5000円なら、これで完結。プラスはいただきません。」
価格で勝負するというより、“不信感が生まれない設計”でリピーターをつくる。
同業が増える中で、岡本さんが「差別化」として最も大切にしている部分でした。











創業のきっかけと、広がった理由
次に”着物レンタル”市場が伸びた”きっかけ”を語ってもらいました。
「自宅で始めた頃、想像以上に人が来た瞬間に「これはいけるぞ」と感じた。当時は、今のように“着物を着て町を歩く”文化が一般化していなかった。舞妓体験はあっても、観光で日常的に着物レンタルを楽しむ形は少なかった」
岡本さんは「発祥と言うけど」と控えめに言いながらも、実際に“体験としての着物”を一気に広げていった方です。
考え方もとても面白く、”着物”を「昔からの決まりごと、として扱いすぎない。靴を履いて着てもいい。型に縛られすぎない方が、ファッションとしての可能性が広がる」
従業員の若い子が「こんな生地で着物を作りたい」と言えば、「やってみたら?」と言う。デニム生地で着物、だって刺さる人には刺さる。正解を固定しないから、時代に合わせた“新しい着物体験”が生まれ続けるのだと感じました。
強みは「圧倒的な技術力」と「教育の仕組み」
同業が増える中で、岡本さんが迷いなく答えた”強み”は「圧倒的な技術力」です。
着付けもヘアセットも、社内に「テスト制度」があり、合格したら次へ進む明確な段階設計がある。
凄い!と感じたのは、そこで終わらないこと。先輩が後輩に練習会を自主的に開く文化が根づいているそう。
仕事終わりに「今日、私やるから」と声が上がり、教えてもらいたい人が集まる。次の世代が入ってきたら「今度は自分が教える側になる」
仕組みと文化の両方で、技術の底上げが回る。着物レンタルは“服を貸す”ではなく、“その一日を快適にする技術”が価値になることを、岡本さんは感じておられました。
●店づくりの面でもこだわりが強い
岡本さんの店舗は基本的には、すべて路面店。
ビルの2階や3階ではなく、「行ったらわかる」「入りやすい」ことを大切にされています。
物件探しは“巡り合わせ”と話しつつも、実は地域のつながりが強い。地域の人が「ここ空くよ」と教えてくれるのは、先代から続く地域活動の積み重ねがあるから。岡本さん自身も、その価値を理解した上で、お店・事業の発展につなげておられます。

印象に残る出来事
イベントの話で特に印象的だったのが、台湾での着物イベントです。
今の国際情勢の影響もあり、以前ほど中国からの観光客が来ないタイミングで、「台湾で日本の着物イベントをしたい」と声がかかった。費用も先方が持つ形で、スタッフを飛行機で派遣し、現地で着付けをする。まさに着物を通じた国際交流です。
さらに驚いたのは、名前は言えませんが世界のVIPの来店「着物を着たい」「着付けてくれ」と。
京都の街で、伝統が“世界のVIPの体験”として成立する。その現場に日常的に立っているのが、岡本さんたちの仕事なのだと実感しました。
部会活動
岡本さん率いる東九部会は、一言で言うと“人が増える設計をする部会”
テーマを固めて突き進むというより、「集まる場所をつくる」「仲の良い人を1人見つけてもらう」ことを大切にされています。
「他部会のメンバーも積極的に招きます。」
部会だけに閉じると、いつも同じ顔ぶれになりやすい。すると新しい仕事の発展や学びが起きにくくなる。だからこそ、部会の外から人を呼んで、交流の接点を増やす。狭いコミュニティが苦手な人にも、居場所ができるようにする。岡本さんの運営は、すごく現代的でした。
——雰囲気は、形式ばらない“宴会の延長”
「遅刻してもいい」
「1時間だけでもいい」
「1回来てみたら楽しいよ」
経営者の会という言葉が持つ“堅さ”を、言葉と空気で溶かしていくのが岡本さんの強さだと感じました。
今後の課題として「人数をもう一度増やして、盛り上げていきたい」という思いも率直に語ってくれました。
若い会員が増える中で、現場仕事で19時集合に遅れてしまう人もいる。だからこそ「遅れてるから来んとこ」ではなく、少しでも顔を出せるような設計を続けたい。
人を責めない運営が、東九部会らしさです。



JOCでの経験
——JOCで得た最大の財産は「友達」
「入会前は、20歳を超えてから友達ができるなんて思っていなかった。大人になってからの人間関係には、どこか警戒心もあった。しかし、JOCでは、同じ経営者として悩みも共有でき、感覚が似た仲間ができた。気づけば“ずっと友達”だと思える関係が増えていた」
「学ぶ」というより、「1人でも出会えたらプラス」
岡本さんは仕事が被らない限り出席するスタイルだそうです。
例会の後にご飯へ行って、そこで聞いた一言が、後から効いてくる。JOCを“成果の場”ではなく“出会いの場”として最大化しているのが、岡本さんのスタンスでした。
今後の展望と新入会員へのメッセージ
新入会員に向けてのメッセージは、とてもシンプルでした。
「東九部会は気軽です。仕事優先で、空いてる時に来てよ、っていうスタンスです。」
来るのが面倒な日もある。でも行ってみたら楽しいことがある。遅刻してもいい。途中参加でもいい。経営者の会を難しく捉えず、まず“来てみる”ことが大事だと岡本さんは繰り返します。
そして東九部会は、「こうしなあかん」がない部会です。
もっと楽しいことがしたい、こんなことがしたい、という声があれば、みんなで考えてやる。新入会員の「こんなんどうですか?」が、そのまま部会の未来をつくっていく。そんな余白を残すのが、岡本さんの描く東九部会です。

取材後記
着物の良さを尋ねると、岡本さんは「着たら背筋が伸びて、いつもと違う日常になる」と返ってきました。
その言葉が、岡本さんの仕事そのものを表している気がします。
——着物は“服”ではなく、“一日を特別にする体験”。
そしてその体験を支えるのは、圧倒的な技術と、嘘のない料金設計、そして人を育てる文化でした。
“思い立ったら動く”直感は、軽さではなく強さでした。動いた先で学び、仕組みにして、仲間に渡していく。岡本一喜さんの周りに人が集まるのは、その流れが自然に回っているからだと確信しました。
コミュニティシェア委員会
インタビュー&記事作成:戸田
撮影:林
