Report事業報告
【JOC会員のお店訪問】「賀茂なすで、何か作って」が通じる店|河原町の隠れ家和食『皓月』【コミュニティシェア委員会】
カテゴリー:ピックアップ、コミュニティシェア委員会

「こんなところに、こんなお店があったなんて!」
京信QUESTIONを出て、河原町通を南へ100メートルちょっと。正直に言って、言われなければ絶対に気づけない…雑居ビルの2階。
看板も控えめ。階段を上がって扉を開けた瞬間、通りの喧騒がすっと消えて、磨き込まれた木のカウンターが現れます。
取材班が思わず漏らしたのが、このお店の本質かもしれません。
和食居酒屋『皓月』
メニューを見ずに「賀茂なすで何か作って」と頼める店です。
🔥コロナで一度は消えた独立の夢が、この2階で叶った
カウンターの向こうに立つのは、店主の山本さん。開業からまもなく3年、この12月で開業3周年を迎えられます。
「ちょうどコロナの時期に独立しようと物件を探していたんですが、コロナでダメになってしまって」
夢が宙に浮いたまま、山本さんは次の職場で働き始めます。それが、今まさに立っているこの場所——当時、別の店だった頃の厨房でした。
そして、その店もまたコロナの影響で閉店することに。
「ちょうど僕もビルの2階で、こぢんまりとしたお店を探していたんです。お客さんと話しながらやりたかったので。そんな話をしていたらお声がけいただいて、そのまま居抜きで買い取らせてもらいました」
閉じていく店から、始まる店へ。カウンター7席ほどの小さな空間は、そうして引き継がれました。
— 桂田さん「委員長をやっていた時にここを知っていたら、毎回来ていたのに(笑)」
🍚 割烹・旅館で修業した男が、あえて「居酒屋」を選んだ理由
— そもそも、何屋さんになるんでしょう?
「和食屋ですね。もともと割烹や旅館で修業させてもらっていました」
経歴だけ聞けば、きっちりしたコース料理を出す店になりそうなもの。しかし、山本さんが選んだのは、もっと近い距離感でした。
「自分でやりたかったのは、居酒屋に近い形だったんです。お客さんと話しながら料理をして、くつろげる空間をつくりたかったので」
割烹の技術で、居酒屋の距離感。この店の美味しさの正体は、ここにあると感じました。
🥢 印刷メニューは”保険”。本当の主役はホワイトボード
席に着いたら、まずホワイトボードを見てください。
「印刷しているメニューは基本的に固定で、おすすめはホワイトボードに書いています。そちらは毎日のように変わりますね」
山本さんは毎日、市場に通います。その日いいものを少量ずつ仕入れ、丁寧に仕込む。だから昨日と今日で品書きが違う。
取材日に挙がったのは、万願寺とうがらし、賀茂なす。京野菜が出始める季節でした。
そしてこの店の一番の楽しみ方が、これ。
— 「賀茂なすで何か作って」でもいいんですか?
「そうですね。揚げ出しや田楽など、リクエストに合わせて作らせてもらいます。食材だけ指定されることも多いですよ」
実は開業当初、メニュー表を置いていなかったそうです。
「ただ、お客さんも料理名が出てこないので、結局メニューを書くようにしました。常連さんは逆にメニューを見ずに『これ作って』と言ってくださるので、自由に使ってもらっている感じですね」
つまり、印刷メニューは初めての人のための”保険”。常連になるほど、メニューから自由になっていく店なのです。
🌍 ブラジルから、半年に一度やってくるお客様
小さなカウンターに、意外な広がりがあります。
「近くのホテルに泊まった方が、居酒屋を調べて見つけてくださったり。あとは海外の方も多いですね」
その理由が面白い。山本さん、料理の仕込みを配信しているのです。
「これが海外の方によく見ていただくタイプの配信で。それを見て、日本に旅行に来てくださる方もいます。ブラジルの方が、半年に一度来てくださるんですよ」
地球の裏側から、河原町のビル2階へ。年に2回…なかなか興味深いお話でした!
🥔 名物ポテトサラダに隠された、小さなクイズ
おすすめを一通りお願いすると、まず届いたのがおばんざい盛り合わせ。魚の南蛮漬け、万願寺とうがらしのじゃこ炒め、普段はあまり出さないというほうれん草の和え物、そしてポテトサラダ。
その上に、茶色く細い何かが山盛りにのっています。
「上に何がのっているか、当ててみてください」
見た目はごぼう。違う。玉ねぎ? 違う。さつまいも? じゃがいも……?
「正解です。じゃがいもの皮なんですよ」
思わず「えっ」と声が出ます。カリカリに揚がった皮が、クリーミーなポテトサラダに香ばしい食感を足している。
「普段、皮って捨てるじゃないですか。それに、ポテトサラダにキュウリを入れるお店もありますが、苦手な方も多いので、うちはハムと卵とじゃがいもだけ。その代わり食感がほしくて、皮をわざとチップにして、じゃがいもを一切捨てずに全部使っています」
捨てるはずのものが、名物になる。お子さん連れのお客さんも、きれいに食べてくれるそうです。
続く、朝引き鶏のたたきは、むね肉かも肉を1日わずか1枚分。
「売り切れたらその日は終わりなので、ある時しかお出ししていません」
この日はありました。運が良かったです(笑)
🌽 「少なかったら嫌じゃないですか」——とうもろこしご飯の真剣さ
目の前の土鍋に、黄色い粒が惜しげもなく注ぎ込まれていきます。
— とうもろこし、入れすぎじゃないですか?
「これくらい入れないと。『とうもろこしご飯』と言いながら少なかったら、嫌じゃないですか(笑)」
ただ豪快なだけではありません。1本分の実はすべて外してあり、残った芯は別に扱われています。
「先に芯だけで出汁を取って、塩分を調整して、その出汁で炊いています。炊く時にも芯を一緒に入れますが、それは香り付け。よそう時に取り出します」
1本のとうもろこしを、実・出汁・香りの三役で使い切る。炊き上がりまで約20分。蓋を開けた瞬間の香りは、取材班全員が思わず言葉を失いました。
さらに白ご飯も登場。こちらは混ぜずに、そのままよそうのが流儀。
「粒が立っているので、混ぜると逆に潰れちゃうんです。炊飯器は火力が弱いので混ぜないといけないんですけどね」
同じ白米が、炊き方ひとつでこうも変わるのか、と新たな発見。
厨房の奥では、別の寸胴が静かに湯気を上げていました。鯛めし用の出汁と、にゅうめん用の白湯スープ。
「これは鯛の骨なんですけど、6時間以上煮込まないと出汁が出ないんですよ。まだ3時間ほどなので、あと3、4時間ほど煮込みます。手間をかけた分だけ、美味しくなるので」
そして、炊き上がったご飯は、人数分にきっちり取り分けて提供してくださいました。」
「具が全部は分けきれないこともあるので、その時は言ってもらえればおにぎりにしたりもしますよ」
——この気遣い、複数人で行くお店として、かなり嬉しいポイントでした!
🔥 「手を突っ込んで温度を覚えろ」
熱々の鍋を素手でさばく場面に、取材班が「やばい!」とざわつく一幕も。
「料理人になって最初に揚げ物で教わったのが、『手を突っ込んで温度を覚えろ』でしたから。ほんまに一瞬なので、全然大丈夫なんです」
さらりと言う山本さんの手は、紛れもなく料理人の手でした。
🍶 京都のウイスキーで、自分のボトルを置く
お酒は日本酒とウイスキーのハイボールが軸。注目は、ウイスキーが基本的に京都産であること。
棚に並ぶのは常連さんたちのキープボトル。これがまた、店の雰囲気によく似合っています。
ボトルキープは1本5,000円から(銘柄によって一部変動あり)。
自分のボトルを置いた瞬間から、この店は”行きつけ”に変わります。
🌾 ご飯が気に入ったら、そのまま5キロ持ち帰れます
「ここで精米するので、玄米・3分づき・5分づき・7分づき・白米から選んでいただけます」
皓月さん、実はお米を店内で精米販売しているのです。(販売は5kgから)
「最近は、食べてそのまま精米して持って帰る方が増えていますね。5キロはちょっと重いんですけど(笑)」
食べて感動したご飯を、その足で家に持って帰れる。こんな居酒屋、なかなかありません。
☀️ 知る人ぞ知る「昼飲み」という選択肢
— ランチもあるんですね。
「今年の5月からまた再開しています。不定期で、週3回はやりたいんですが、昼間に別の用事で出ることもあって。営業日はSNSに上げていますので、チェックしてください」
— 定食じゃなく、おつまみで普通に飲みに来てもいいんですか?
「昼飲み、できますよ。昼のランチメニューと夜のメニュー、両方お出ししますので」
休日の昼下がり、このカウンターでおばんざいとハイボール。想像しただけで、かなり良い!
🏢 JOCの先輩たちは、もう通っています
実は、皓月さんには、JOCを卒業された先輩方がすでに常連として通われています。
「現役の皆さんにはまだ隠れ家的かもしれませんが、QUESTIONでの委員会などの後に、ご利用いただくこともあります。もっと積極的に使っていただけたら、ありがたいです!」
— 委員会が終わって、階段を降りて、南へ歩いて100メートル。この距離で、この一皿。使わない手はありません。
📢 最後に:JOC会員の皆様へ
「QUESTIONから南に100〜200メートル、すぐ近くにあります。QUESTIONにお寄りの際は、ぜひお越しください。お待ちしております!」
— 山本さん、ごちそうさまでした!
決まったコースでも、固定メニューでもない。その日の市場と、その日のお客さんの気分で、一皿が決まっていく。
「今日は何がありますか?」
次にQUESTIONに行かれた後は、その一言を言いに、ビルの2階へ上がってみてください!
居酒屋『皓月』ご利用メモ
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| ジャンル | 和食・居酒屋(割烹/旅館で修業した店主による一品料理) |
| 場所 | 京信QUESTIONから河原町通を南へ100〜200m/ビル2階 |
| 営業 | 夜(通常営業)/ランチは不定期・最新情報はSNSで告知 |
| 昼飲み | 可(昼・夜両方のメニューから注文可能) |
| 名物 | 皮チップのせポテトサラダ、朝引き鶏のたたき(1日2人前限定)、おばんざい盛り合わせ、賀茂なすの田楽、とうもろこしご飯、鯛めし、にゅうめん |
| お酒 | 日本酒、京都産ウイスキーのハイボールほか/ボトルキープ 5,000円〜 |
| 物販 | お米の精米販売(5kg〜/玄米・3分・5分・7分づき・白米) |
| こんな時に | 委員会後の二次会、少人数の会食、接待、昼飲み、ひとり飲み |
使いこなしのコツ:まずホワイトボードをチェック。そして「◯◯で何か作ってください」と食材だけ伝えてみてください。複数人なら「人数分で分けてください」もOK。カウンター越しの会話込みで、この店の価値です。
取材・記事作成・撮影:コミュニティシェア委員会
