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洛中部会 部会長インタビュー
カテゴリー:洛中部会

洛中部会 株式会社大興製作所 須田 真通さん
― “サイエンスの面白さ”に出会って、世界の裏側(見えないところ)をつくる仕事がもっと好きになった ―
プロフィール
株式会社大興製作所 代表取締役の須田真通さん。JOCには第15期に入会。現在は洛中部会の部会長として活動されています。
大学卒業時、いわゆる就職活動にも一度は向き合ったものの、「正直、いまいちピンと来なかった」
特別にやりたい職種が定まらない中で背中を押したのは、ご家族の存在でした。
「たまたま、うちのおじいちゃんが始めた会社があって。父から“どうや?”って言われたんです」
それまで家業の中身をほとんど知らなかった須田さん。子どもの頃に会社へ連れて行かれた記憶は、仕事の風景よりも喫茶店でパフェを食べた思い出の方が強かった。笑
しかし、実際に働き始め、初めて「父はこんな仕事をしてたんや」と、家業の輪郭がはっきりと見えてきたそうです。
事業承継のタイミングは約10年前、須田さんが35歳の頃。営業や現場も経験した上で、年末をまたぐ頃に「来年からやれ」と引き継ぎが決定。お父様は当時64歳で、現在も会長職として現役です。
「渡すのって、めちゃくちゃ勇気いると思うんですよ」
その言葉からは、任される側の覚悟と、信じてもらえたことへの責任感がにじんでいました。

会社と事業
株式会社大興製作所が手がけているのは、石英ガラス(高純度のSiO₂=二酸化ケイ素)という非常に特殊な素材の加工です。
一見すると、透明で普通のガラスやアクリルと変わらない。けれど、その中身はまったくの別物。
最大の特徴は、圧倒的な耐熱性。一般的なガラスとは比較にならず、加工の世界では「ガラスの王様」と呼ばれることもあります。
紫外線や赤外線といった通常のガラスが通しにくい光も透過する性質を持ち、薬品にも非常に強い。
「研究とか開発をしてる人たちに、ピンポイントで提供する仕事です。ほとんどオーダーメイドですね」
用途は実験器具のイメージが強いものの、須田さんはこう続けます。
「僕らが普段見えないところで、めちゃくちゃ使われてます。半導体の製造工程とかもそうですね」
スマートフォンやデータセンターなど、日常のど真ん中を支える技術。
その“見えない裏側”に、須田さんたちの仕事は深く関わっています。
工場は京都に加え、新潟県にも大型拠点を構えています。新潟に工場を構えた背景には、顧客との距離感がありました。
「割れ物であるガラス製品は、修理や交換のスピードが重要。すぐ駆けつけられる距離にあることが、信頼につながっていったと感じる」
——再認識した「サイエンスの世界の面白さ」
須田さんが経営を考える上で、大きな影響を受けたのが、ある研究者との出会いでした。
文系出身で、理系の授業は「弁当か漫画の時間やった」と語る須田さん。笑
当初は、理系の研究者が何を面白がっているのか、正直よく分からなかった…そうです。
そんな中で出会ったのが、北海道大学の教授として、フェムト秒(10-15秒=1000兆分の1秒、極限まで短い時間)で光るパルスレーザーの研究に携わっていた研究者でした。
「見た目もザ・博士。リアルに存在してる!笑、って思いました」
その研究は、分子の動きのような超高速現象を“一瞬だけ光らせて捉える”という世界。
その成果は、新素材開発や創薬など、社会の根幹につながっていきます。
「経営に直接どう繋がってるかと言われると難しいですけど、でも“大きく捉える”って意味では、めちゃくちゃ繋がってると思ってます」
須田さんにとってこの出会いは、理系・文系という枠を超えて、ものづくりや研究の面白さを再認識する転機になったそうです。





同業他社と比べた強み
石英ガラス加工の世界は、プレイヤーが極端に少ない分野。
難易度が高く、設備だけでなく職人の技術が不可欠。その中で大興製作所が大切にしているのは、“できない”で終わらせない姿勢です。
「100%は無理でも、7割8割なら“この形でできます”って持っていく」
誰もやりたがらない領域に踏み込むからこそ、最後の受け皿になる。
「大興さんがいてくれて助かりました」
そんな言葉が、信頼の積み重ねを物語っています。
印象に残っているプロジェクト
須田さんが印象的だった仕事として挙げたのが、JAXA関連のプロジェクト。
小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったサンプル(砂)を分析するため、その保管・分析に使う石英ガラス製容器を製作しました。
分析途中で、貴重なサンプルと容器の素材とが反応して(別の物質が混ざって)変化してしまえば、研究そのものが成立しない。
だからこそ、限りなく高純度で反応しにくい石英ガラスが必要でした。
「最初は何に使うか言われないことも多い。でも“はやぶさの砂です”って聞いた時は、さすがに面白かったですね」
売上以上に、仕事の意味を実感できた案件だったそうです。
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部会活動
洛中部会の特徴は、圧倒的な出席率の高さです。部会員は22名(令和8年2月時点)
「部会事業には毎回、15〜16名が集まります」
——今年度の活動は実に全6回
- 会員さんの銭湯・旅館での総会
- 朝食会と税
務についての勉強会 - 推しで戦うマンガ・ビブリオバトル
- 宮崎への研修旅行
- 若手企画の忘年会
- ジビエを食べる食例会
「飲むのが好きな集まりですね」
そう笑いながらも、役割を分けて“みんなでつくる部会”が自然と成立しているのが洛中部会の強みです。










JOCでの経験
須田さんがJOCに惹かれた理由は、とてもシンプルでした。
「また、会いたい!」
若い頃から部会・本部の両方に関わる中で、人との距離感や運営側に立つ面白さを知っていきました。
「部会と本部、両方あるのがJOCの面白さやと思います」
運営側に回ることで見える景色が変わる。その経験が、経営にも確実に活きていると感じさせる言葉でした。
今後の展望と新入会員へのメッセージ
須田さんが大切にしたいのは、
「この空気を次に渡すこと」
洛中部会は新入会員も自然と溶け込み、若い世代の参加も増えています。
「無理せんでいい。でも、チャンスがあったら運営側もやってみてほしい」
「立場が変わることで、見え方が変わる。その経験こそが、JOCの醍醐味」
と語られていたのがとても印象的でした。

取材後記
——石英ガラス、フェムト秒レーザー、宇宙探査…
どれも普段の生活からは見えない世界ですが、確実に社会を支えていることが良く分かりました。
——洛中部会の高い出席率も同じ。
誰かが無理をして作った空気ではなく、役割を持ち合い、自然に積み重なった信頼の結果でした。
その中心で、静かに全体を見渡しているのが須田真通さん。
“見えないところをつくる人”という言葉が、しっくりくる取材でした。
コミュニティシェア委員会
インタビュー&記事作成:山本
撮影:林
