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近江部会 部会長インタビュー

カテゴリー:近江部会

近江部会 株式会社ささき洋品店/Wine Shop AZURE BLUE 佐々木 祐哉さん

― 何も足さず、何も引かない。ナチュラルワインと“人が集まる場”を育て続ける選択 ―

プロフィール

滋賀県守山市で 株式会社ささき洋品店 を営み、ナチュラルワイン専門店 Wine Shop AZURE BLUE を運営する佐々木 祐哉さん。

京都の山科出身。高校卒業後、京都の老舗ホテルバーでキャリアをスタート。20代前半でマネージャーを務めるなど、早くから酒の世界で実践的な経験を積みました。

その後、人生を見つめ直すために石垣島での生活を経験。自然の中で過ごす時間を通して「人の手が入りすぎていないもの」への価値観が形になり、帰京後に出会った“ナチュラルワイン”に強い衝撃を受けたそうです。

以降、京都のナチュラルワインを牽引する企業で約10年間修行。
「いつか自分で商いをする」という想いを胸に、縁もゆかりもなかった滋賀・守山の地で独立。現在は開業9年目を迎え、地域内外から信頼を集めるワインショップに育てあげて来られました。

JOCでは近江部会の部会長を務め、滋賀と京都を行き来する“人の循環”を意識した部会運営に取り組んでおられます。

会社と事業

——工業製品ではなく「育てるもの」としてのナチュラルワイン

一般的なワインの多くは、発酵途中で殺菌や調整を加え、安定した味をつくる工程を経ます。一方、佐々木さんが扱う”ナチュラルワイン‴は、ぶどうが本来持つ力を尊重し、「何も足さず、何も引かない」つくり方を選ぶ生産者のもの。

あるイタリアの生産者が語った

「ワイン・メイキング(作る)じゃない、ワイン・グローイング(育てる)だ」

という言葉は、佐々木さんの事業哲学そのものだそうです。

その結果、お客様からは

「ワインが苦手やと思っていたけど、ここなら飲めた」

「翌日に残らない」

といった声が多く寄せられてるそうです。

味の評価以前に、“体に自然が馴染む感覚”が信頼につながっている。
それが Wine Shop AZURE BLUE の土台です。

守山という場所を選んだ理由

——ゼロから始める覚悟と、琵琶湖への愛着

独立にあたり、佐々木さんが選んだのは、当時ワイン文化がほぼ根付いていなかった滋賀県 守山市。
市場としては決して恵まれた場所ではありませんでした。

それでも、子どもの頃から慣れ親しんだ琵琶湖の存在、そして「水のある場所で商いをしたい」という感覚が、この地を選ばせました。

——印象的な物件との出会い

京都から関ヶ原まで自転車で走った際、守山周辺の空気感が記憶に残っていた。
後に20年以上空き家だった建物と出会い、シャッターを上げた瞬間に「ここや」と確信。

顧客ゼロからのスタートでしたが、今では

“ワインを買う場所”を超えた、人が自然に集まる拠点

として、確かな存在感を放っています。

「顧客」ではなく「友人」であるという関係性

佐々木さんが一貫して大切にしているのは、業者と顧客の関係に留まらないこと

飲食店への卸売が中心でありながら、実際に店を訪れ、料理を食べ、その場に合う一本を選ぶ。
相談があれば、一歩踏み込んで一緒に考える。

この距離感が、「とりあえず佐々木さんに聞こう」という信頼を生み、長い付き合いへとつながっているそうです。

●店から生まれる「対話の場」

AZURE BLUEの特徴は、店内外で自然に生まれる“対話”です。

  • 飲食店向けの試飲会
  • 常連が料理を持ち寄る夜
  • 高校生と大人がテーマを決めて語り合う会

特に印象的だったのが、高校生と大人の対話場でのテーマ。

「推しと恋愛」

「子どもの頃の遊び」

など、高校生発信のテーマを軸に、世代を越えて意見を交わします。

ここで佐々木さんは、答えを出す役ではなく、場を整える人
ワインと同じく、はみ出さないように見守りながら、対話が育つ環境をつくっているそうです。

 

近江部会での取り組み

——合併から始まる、新しい部会づくり

佐々木さんが部会長を務める近江部会は、合併を経て誕生した新しい部会(※)

(※)令和7年 4月より大津部会と近江部会が合併し、新たに近江部会となった

現在は約46名と一気に規模が拡大し、「これから伝統をつくる段階」だそうです。

今期、象徴的な事業が、琵琶湖の魚をテーマにした企画。漁師から現状を学び、料理人の技でブラックバスなどを提供。

「調理次第で、価値は変わる」

ことを体感する場となりました。

滋賀を知り、誇りを持ち、京都とも行き来ができる。そんな“循環する部会”を目指しています。

今後の展望と新入会員へのメッセージ

佐々木さんが見据えるのは、人と人が自然につながり続ける循環

部会としては、まず内側を整え、次世代に渡せる土台をつくること。
事業としては、これからも「無理に広げない」選択を重ねながら、信頼の輪を育てていく。

―― 新しくJOCに入会される方へ

「JOCには、考え方も立場も違う人がいます。でも必ず、自分に合う距離感の仲間が見つかる。迷ったら、一回足を運んでみてほしいです。」

取材後記

佐々木さんの話を通じて感じたのは、選ばない勇気でした。

拡大しないこと。効率を優先しすぎないこと。答えを与えすぎないこと。

それらは一見、遠回りに見えます。しかし、その積み重ねが、

ワインにも、人にも、場にも、確かな深みを与えていました。

佐々木さんは、目的地を決めて引っ張る人ではない。
同じ速度で横を歩きながら、自然と人が前に進んでいく環境を整える人。近江から広がるその静かな影響力は、これからのJOCにとっても、確かな財産になると感じました。

コミュニティシェア委員会 

インタビュー&記事作成:今村

撮影:林

SpecialThanks:桂田・玉木

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