Member’s InterviewNo.009 立花 勇毅
人に寄り添う、小さな巨人を目指して
立花 勇毅 yuuki_tachibana
皆さんこんにちは、いつもオフィシャルサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。
本店部会所属、総務委員会 委員の鳴海 力哉です。
今回は、西陣・北野部会所属の立花 勇毅さんの会社へご訪問させていただきました。立花さんは晴明神社のほど近く、上京区の一条油小路で立花鐵工所を営んでおられます。
お仕事のこと
記者:それでは、よろしくお願いいたします。まず初めに立花さんの会社の事業について教えてください。
立花:よろしくお願いします!!立花鐵工所は見ていただいてお分かりと思いますが、昔ながらの町工場って感じです(笑)
記者:確かに、ノスタルジックな雰囲気ですね。
立花:主にクリーニング屋さんや染め物屋さん向けの洗濯機や脱水機などを製作しています。あとは、基本毎年買い換えるような機械ではないので、保守メンテや修理なんかもやってます。最近ではこちらの方が比重的には多いかなという感じです。
記者:なるほど、ちなみに創業はいつ頃なんでしょうか?
立花:はい、創業は大正元年の8月1日です。私の曽祖父の立花信一が起業しました。元々は鍛冶屋をやっていたそうですが、祖父の時代に「人を殺さない物を作って商売をしたい」と言うことで、西陣の染め物屋さん向けに今の染色関連機械の製造販売を始めたと聞いております。
記者:「人を殺さない物」ってなかなか出てこない発想かなと思うんですけど、なにかそういう逸話があるんでしょうか?
立花:鍛冶屋だったのでおそらく刀とか包丁とかを作っていたのかなと、どちらにしろ「命を奪う物」ですし。そういう意味なのかもしれません。
記者:なるほど。
立花:戦時中は軍向けに大砲の弾を製造していたこともあるみたいで、そのあたりが根底にあったのかも知れないですね。よって、父が3代目で私が4代目ということになります。
記者:なかなかすごい歴史ですね。でも軍から仕事を任されるということは、それほどの技術があったということですね。今でも機械製作をメインでされていますか?
立花:やっぱり、今の時代なかなか染色関連の機械の需要自体が細くなってきてるので新規の数は少ないです。作らせていただけるなら、もっと作りたいんですけど(笑)それでも、「この機械じゃ無いとダメ!」っていう企業さんが偶にいらっしゃるので、そういった注文にはしっかりとお答えさせてもらってます。設備はあるので他のメーカーさんの修理とかも対応しますし、あと当社で金型類は全て残しているので、当社製作の古い機械の修理メンテが割合的には多いです。
記者:となるとメインのお客様はやっぱり染色関係ですか?
立花:いえ、逆に最近はクリーニングとか老人ホームなんかとの取引が多いですね。私が帰ってきて3年になるんですけど…仕事らしい仕事があまり無かったです。
記者:なんと…
立花:そこで戻ってきてすぐにクリーニング屋さんというクリーニング屋さんを片っ端から回りました。業者さんには「立花さんまだやってはったんや」なんていわれるぐらいで…(笑)そこから修理の依頼やお仕事の話が少しずついただけるようになりました。
記者:なるほど。ありがとうございます。努力されていらっしゃるのですね。
ご自身のことについて
記者:せっかくご自身のお話が出たのでお聞きしたいのですが、戻って来られたのは3年前とお聞きしましたが、それまでは?
立花:はい、大阪の西成区にある「みづほ工業株式会社」という会社で機械設計をやってました。ちょうど入社のタイミングでその会社が3D設計の導入プロジェクトが立ち上がりまして、その導入チームに配属されました。
記者:大抜擢ですね!
立花:正直、3D設計なんて触った事ないのにみたいな感じやったんですけど、そこから3D設計を使って真空乳化攪拌機っていう化粧品を作る機械の設計を行ったりしてました。
記者:未経験でそれはなかなか大変ですね!立花さん自身はもともと、家業を継ぐ考えでおられたんですか?
立花:実は全くそのつもりが無くて…大学生のときはテレビ業界に入りたかったんですよ、ディレクターとか番組制作とか。ただ、私が当時信州大学の繊維学部生のとき、課程長から就職に関するお話をいただきました。関西出身だった私に大阪の西成区の企業の方が来られるので会ってみないか?というお話でした。
記者:なるほど。
立花:そのときは、普通にご飯食べて、お酒飲んでって感じで…その後また連絡があった際に「今度、工場見学来て欲しい」と言われました。交通費は全部出すからって仰っていただいたので、学生の頃ですから「ついでに帰省出来るしラッキー♪ くらいの感じ受け取っていました(笑)その後、工場見学へ伺った際に、同時に内定をいただきました。
記者:すごいお話ですね笑
立花:その後は就職させていただき、働いてる時は全然不満とかも無く勤務させていただきました。ですがあるとき、ふと「『ものづくり』の観点からしたら、家業も同じか」と感じるようになり、そこから「これ…家業を継がなかったら、一生後悔することになるだろうな」と思い、そこから一念発起して3年間は今の会社でがんばり、4年目に退職して京都に戻ってきました。
記者:そうだったんですね!少し話が戻るんですが、大学は繊維系の学部と言うことでしたが機械工業の知識は前職で身につけられたんですか?
立花:そうですね。繊維系っていっても様々な科目があって、私自身は高校の時から化学の勉強がすごい好きで、大学では界面活性剤の勉強とかを主に学んでいました。最初はそこの研究室などに入るのかなと思っていましたが、まさか設計になるとは思ってもみなくて…でも結果的に3D-CADの使い方だったり、手書き製図のやり方なんかもみっちり覚えることが出来たので、その経験は生きています。
*今自作されている3D設計の途中経過を拝見させていただきました。
記者:ということは、学校での経験というより完全に立花さんの人間力が評価されて入社につながった感じなんでしょうか?
立花:まぁ、そういうことだと思います、試験もなんにも無かったので(笑)当時リクルートに来ていただいたのが、信州大学のOBさんで、社長から誰か良さそうな奴を引っ張ってこいみたいな指令が出てたみたいです。
記者:いや、でもそこが一番大事だと思います。立花さんの人徳ですね。
JOCについて
記者:では、少しJOCのことについてお聞かせください。入会時期と入会のきっかけは何だったのでしょうか?
立花:入会のきっかけですが、実はたまたま金庫さんの担当の方が同じ中学校の後輩で、お誘いいただきました。正直それまではJOCの存在すら知りませんでしたが、たぶん「立花さんJOC…入りそうやな…」って思われたと思います(笑)
記者:縁ですね。最初の印象はどうでしたか?
立花:正直、何にもわからないままに参加させていただいたので、「お酒飲めればいいか」みたいな感じでした(笑)そこで、今同じ部会に所属されている松居部会長とお会いして、業種的に近しいのもあって1時間半ずっとお話していました。今でも気にかけていただいてます。
記者:なるほど、入会されてからは様々な事業にも積極的に参加されているようにお見かけします。
立花:出欠のある事業には極力参加するようにしています。せっかくJOCに入ってるので参加しないと。あとは、やはり色々な方に出会えるというのが、個人的に大きな理由の一つですね。今住んでいるのも職場の近くなので、外に出る機会がないと、家族と従業員以外と話さない日なんてザラにありますし…
記者:少し寂しいですね。
立花:なので、コミュニティが狭くなるのが嫌で。あと、お酒さえあれば何でも来いみたいなところがあるので、小さいことでも積極的に顔を出していこうと思ってます。
記者:ありがとうございます。その中でも、印象に残った事業とかありますか?
立花:先日、QUESTIONで開催された、お好み焼きを皆で焼く…同期会や、他の部会の皆さんと交流してお鍋を作りあげる部会交流の事業ですね。個人的にこういった会での会合はホテルのイメージがあったので新鮮でした。
記者:どちらかと言うと人と交流するのがお好きな感じですね。
立花:お酒さえあればって感じです(笑)
記者:JOCに参加して良かったなって思うことはありますか?
立花:やっぱり異業種の方と色々な話が出来たことですね。仕事の話はもちろんですけど、ホントに他愛のない話とか。こんなに色んな年齢層の方がおられる中で色んな方とお話できる繋がれるというのは貴重な体験だなと思ってます。
最後に…
記者:最後に座右の銘をお聞かせください。
立花:そうですね。むかしから「小さな巨人」です。漫画で「ドカベン」ってあるじゃないですか、それの里中くん。こう見えて昔は体が小さくて、ずっと「前にならえ」は腰に手を当ててたんですよ(笑)でも、あれってクラスで一人しかできないじゃないですか、そんな存在になりたいです。
記者:めちゃくちゃカッコいいですね!それでは最後にJOC会員のみなさんにひとことお願いします。
立花:はい、この記事をご覧いただいてお分かりと思いますが、ホントに器用貧乏な感じで色んな機械を取り扱う企業ですので、金属に関することでしたら、どんな些細なことでも相談してください。最近行った業務ですと、近所のアパートの手すりや自転車のスタンドを直したりしてるので(笑)お気軽にお声がけください!
記者:長時間に渡り、ありがとうございました。
本当に工場には様々な機械や器具、鋳型などが保管され、工具などへの細かな質問にも熱心にお答えいただき、取材班も大変勉強になりました。
ぜひ金属に関わるお困りごと、関連機械の整備にお悩みの方は、立花さんにご相談されてみては如何でしょうか?
*愛犬「陣」くんとのツーショット!
企業名:立花鐵工所
TEL:075-441-5584
取材チーム
リーダー&記事作成:鳴海 力哉(本店部会)
アシスタント:林 良輔(大津部会)
アシスタント:岸場 啓太(近江部会)
見学ゲスト:重近 弘幸(大津部会)